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IoT電力デマンド機器の製作(パルス式編)

更新日:2023年4月26日


先日、IoT電力メーターを製作過程を記事にしました。今回は、社屋の電力デマンド機器の記事です。


これまでの電力デマンド

弊社は、数年前から市販の電力デマンド機器(ぱわーみえーる)を設置して運用しています。この機器の設置には、数年にわたり本当に苦労しました。この間の経緯は、以前、記事にしたので今回は割愛します。


「ぱわーみえーる」は、よくできた機器で安定して運用できています。実際、上限電力量の監視を行ったことにより、設置以前と比べ、少なくとも年間数十万円は電気料金の節約になっています。ただ、この機器は30分間の電力使用量に注力しており、リアルタイムの電力量がわかりにくい仕様となっています。


私としては、今現在の電力使用量を意識させるような仕組みがほしいと考えていました。


パルス波形の観察

前回のIoT電力メーターの製作から、電力デマンド機器も自作できるのではないか思い立ちました。

ネットには、あまり参考資料がなく、「ぱわーみえーる」の仕様から推測して開発をはじめました。


「ぱわーみえーる」は、屋外の電力メーターからパルス信号(有線)を受けて動作しています。


EDMC(ぱわーみえーる)には、入力として3接点が接続されています。オシロスコープで、PIとCOM間の波形を見てみると、ほぼ秒間隔でOn/Offしているのが観察できました。

このパルスをカウントすれば、電力量に変換できそうです。


ハードウェアの製作

ハードウェアは、以前作成したFA用IoT機器を流用します。信号は12vですので抵抗分圧で3v程度に降圧させます。具体的にはシールド基板に、降圧回路(抵抗2本)と、コネクタを取り付ければ完成です。作成時間は30分、新たな材料費は100円くらいで実にお手軽です。


ファームウェアの製作

今回の機器は、液晶画面が無いのでファームウェアは比較的簡単です。肝心のパルス数を電力量に変換する部分ですが、これは「ぱわーみえーる」の設定経験があるので、比較的簡単でした。


kW=パルス数÷A×B÷C×D÷E

たとえば先のパルス波形だと、4.5秒で7パルスなので、この間に0.0336kWを使用したことになります。


パルスの取得方法

パルスは単なるOn/Offですので、簡単に取得できそうですが、実は落とし穴があります。コンピュータは、1度に一つの処理しかできないので、パルスの立ち上がり、立下りのタイミングを逃すと、取りこぼしが発生します。このため割り込みという機能を使ってカウントを行います。これでWi-Fi通信中でも、確実にカウントができます。


パルス方式による電力値は不便?

パルス方式、電流方式より簡単ですが不便さもあります。電流方式の場合は、ある時点(瞬間)の電力量が取得できますが、パルスの場合は、一定時間を経ないと(1つ以上のパルス数がないと)、電力量に換算できないからです。この件は構想時には、想定していませんでした。「ぱわーみえーる」が、私が希望するような仕様になっていない理由が、ここにきて、ようやく理解できました。


妥協案として、5秒間のパルス数を、その時点の電力量として、表示することにしました。


Webサービスの作成

IoT端末側は完成しましたので、後は、Node-REDで、Web画面やデータ保存を作成します。やることは、IoT電力メーターと変わりませんので、ほとんどコピペで完成しました。


まとめ

今回は、以前の電力デマンドの導入時とくらべ、基礎知識があったので比較的簡単にシステムの構築ができました。正直、たったの抵抗2本(1本1円)で、市販のデマンド装置と同等以上のことができるとは考えていませんでした。


一般の企業が、電力デマンド装置を導入しようとすると数十万円の初期費用と、毎月の使用料もかかります。しかし、今回のようなIoTをつかったシステムなら、材料費は多く見積もっても数千円、月額使用料は0円です。しかも機能的は同等以上、さらに拡張性もあります。


電気料金高騰のニュースも多いご時世ですが、こういうシステムが一般化すれば、省電化にもつながると思うのですが、あまり注目されていない理由がよくわかりません。

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